赤い糸


「赤い糸って、きっとあるよね?絵理ちゃん。」
「ぶっ…由希あんたそんなことばっかいってるからいつまでも彼、できないんだよ。」
 絵理のつめた〜い一言に由希はほおをふくらませそっぽをむいた。
 日曜日の午後の歩行者天国、絵理と由希の二人はアイスをたべながらどこに行くわけでもなしに歩いていた。行き交う人々はたいていカップルか親子連れ。時々男のコだけのグループも歩いているが、たいていは中学生か恋とは縁もなさそうな人たち。
「いーもん。絵理ちゃんは信じなくてもあたしは信じてるから!」
「へーへーそーですか。」
 頭の後ろに手を組んでそっぽをむく絵理。由希は両手を胸の前で組み、夢でもみてるかのような目で空をみている。
「そうよ。きっと、きっとどこかの素敵な人と赤い糸で結ばれてるのよ。ああいったいどこのどなたなのかしら。」
「勝手に花でも何でもしょってなさいって…あーつかれた。どっかすわろーよ。」
 そういって絵理はきょろきょろとあたりを見回した。そのときである。
「あの、すみません。」
 ひとりのけっこういいセンいってる男のコが由希に近寄ってきた。はっとしてそのひとを見る由希。
(あ、素敵な人…)「はい(*^^*)」
 その男のコは由希の、胸の前で組んでいる両手をぎゅっとにぎった。
「え、あの、その…いきなり…こんな…」
 てれて、真っ赤になっちゃってる由希の顔をじっと見てその男のコはまじめな口調で由希に話しかけた。
「僕、奇○の水の者なんですが、あなたの為に5分間だけ祈らせてください。」
………。

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